皮膚科から、ステロイド軟膏と、ステロイドクリームを
処方されました
どちらも成分は同じようなのですが、なぜ2つも
くれるのでしょうか?
軟膏とクリームを使い分ける必要って、あるのでしょうか
処方された外用剤(塗り薬)で、そんな疑問を持つ方は
多いようです
軟膏とクリームの違いは何でしょうか?
塗り薬は主剤(有効成分)を、油脂や水、アルコールなどの
基剤で溶かしてあります
軟膏とクリームの違いは、簡単に言うと基剤の違いです
基剤の役目は薄めたり、塗りやすくする効果があります
軟膏は油脂で、クリームは水と油を乳化させたものです
軟膏は、刺激がないため、患部が乾燥した状態でも
皮膚の一部がただれて、剥がれている状態(びらん)や
かさぶたの状態など、どんな状態でも塗ることができます
一方、クリームは患部が乾燥した状態の使用に向いています
使用感は良いですが、じゅくじゅくし、汁が出ているびらんの
部分や、粘膜や皮膚の表面が炎症を起こし、傷が深くえぐれた
ような状態(潰瘍)には使えません
ステロイドクリームを、じゅくじゅくした患部や
掻き壊した部分に塗ってしまうと、湿疹は悪くなります
また、しみて痛いです
クリームがしみるのはどうしてでしょうか?
クリームは、水と油を混ぜて乳化させているわけですが
水と油だけでは、時間がたつと分離してしまうので
界面活性剤が配合されています
そのため、肌によく浸透するのですが、傷口に塗るのは
刺激となり痛いのです
例えば、転んで膝の皮がめくれて、血が出ているような
傷口を、石鹸で洗ったらしみて痛いのと同じ理屈です
それと比較して、軟膏は油脂性のワセリンを基剤としています
傷口に油をつけても沁みたりしないですよね?
ジュクジュクした傷には、油脂性の軟膏か、水溶性の軟膏か
亜鉛化単軟膏が良いとされているのです
皮膚科で処方されるステロイド外用剤は、症状や部位に応じて
軟膏、クリーム、ローション、テープ、ジェル、スプレー剤が
使い分けられていますが、びらんや、潰瘍の状態に使えるのは
軟膏だけと覚えておいてください
そして、クリームを使えるのは、皮膚の状態が乾燥した状態で
ケガ、皮のめくれ、ただれのない状態の時だけです
間違いやすいのは、かさぶた(痂皮)の状態です
かさぶたは、乾燥しているイメージが強いですよね?
しかし、かさぶたは完全な皮膚の状態ではないので
使ってはいけません
完全な皮膚の状態に、クリームが適切なわけは
薬が浸透しにくい状態の皮膚に吸収させやすいからです
軟膏とクリームの区別は、チューブから出すと
すぐに分かります
ベトッとして、透明なのが油脂性である軟膏です
白いものや、透明に見えても水をつけると白く濁る
ものがクリームです
皮膚科で、軟膏とクリームの両方を出される時は
理由と、使い分け方の説明を聞いておきましょう
使用していくうちに、どちらを使えばいいか迷った時は
傷口の状態に関係なく塗れる、軟膏を塗るように
してくださいね