アトピー性皮膚炎で使われる「ステロイド剤」とは
そもそもどんなもので、どんな作用があるのでしょうか
正式名称は「合成副腎皮質ステロイドホルモン」といいます
体の中の副腎という部分から分泌される副腎皮質ホルモンに
似た性質です
副腎皮質ホルモンは、体にストレスを受けると
反応して分泌され、体がストレスに対抗できるように
バランスを整える役割があります
副腎皮質から分泌される自然のホルモンと違い
人工的に合成された「ステロイド剤」は
より強い消炎作用をもっています
ステロイド剤には4つの作用があります
①血管収縮作用(赤みを取る)
たとえば、顔に炎症が起きて赤みが出ている状態は
白血球を炎症部位に急いで移動するために血管が拡張
した状態で、そのため赤く見えます
②抗炎症作用
痒みの元となるヒスタミンを抑えて痒みをとります
③免疫抑制作用
過剰な反応を起こすきっかけとなる
白血球の働きを抑制します
④細胞増殖抑制作用
過剰な炎症反応を起こす細胞を消滅させ
正常な細胞を守ります
私たちの皮膚の表面には、菌やアレルゲンなどから
肌を守る角質層があります
角質層の表面にある皮脂膜は水をかけても弾きます
脂分があるから水を通さないのですが
油に溶けたものは通しやすい性質があります
ステロイド外用剤は脂溶性なので
皮脂膜に弾かれず吸収されていきます
皮膚表面からだけではなく毛穴からも吸収されます
吸収しやすいのでステロイド外用剤を皮膚に塗ると
体の内部にまでたくさん取り込まれることになるわけです
4つの作用と、浸透しやすくすぐ効く性質により
劇的なまでの消炎作用があるのです
しかし薬にはデメリットもあります
副作用です
ステロイドを長期にわたり使用し続けると
2つの副作用がおきやすいことを知っておきましょう
①局所的副作用
・皮膚が薄くなり毛細血管が透けて見える現象
(皮膚の萎縮と毛細血管の拡張)
・赤みが全体に広がる(ステロイド潮紅)
・赤みが顔に起こる(酒さ様皮膚炎)
・赤みが口の周りに起こる(口囲皮膚炎)
・とびひになりやすい
・にきび、乾皮症、赤ら顔
・白内障
②全身的副作用
・IgE抗体が増える
・成長障害
などが起こりやすいので長期の使用は害があります
軽いアトピーであれば塗布する期間も1週間程度なので
問題もまず起きません
そして上手に使わないと起きる悪循環が
「ステロイド依存症」です
どのようなものでしょうか?