よくある漢方薬のイメージって中国の高麗人参やら薬草みたいなものを、 症状に合わせて混ぜて薬として飲んだり、お茶のように煎じて飲んだりする。
そして、ゆっくり、じっくり効いてくるから、長く飲み続けないと効果がみられない。
そんな感じじゃないですか?
漢方は自然の生薬の組み合わせでできています。
果物にも寒い地方で採れるリンゴなどには体を温める効果がありますし、 反対に暑い地方で採れるパイナップルなどの南国系のフルーツには体を冷やす効果があります。
漢方の生薬の多くは植物です。食べ物よりも、少し薬としての効力があります。
食べれるものの仲間と言えますから、当然ながら体にやさしく効くのです。
生薬ひとつの中には西洋の薬と違い複数の効果・薬理作用があります。
そして、その生薬同士を数種類混ぜ合わせることにより、それぞれの生薬が持つ効き目を上げたり、副作用を打ち消しあったりして処方されるのです。
漢方薬の目指すところは「体の中のゆがみを正しバランスを整え健康な体をつくっていく」 というところにあります。
薬は西洋薬と漢方薬に大別できるわけですが、それぞれを比較してみます。
まず、西洋薬の特徴は対処療法と考えられます。
化学物質からできており、効きやすい反面、副作用も出やすいです。
単一の化学物質は効き目はピンポイントで早く症状を抑えます。
具体的に言うと、ステロイド外用剤などの塗り薬が挙げられます。
炎症や痒みはピタッと治まる魔法のような薬ではありますが、使い方によっては副作用が強くおきてしまい全身に赤みが出たり、赤黒くなったり、薬やけで肌に黒ずみが起きたりします。
アトピーの治療にステロイドを使い急激に治すと、せき止められた悪いものが反動で大きな衝撃となって戻ってくるわけです。
台所のシングル水栓で水をダーッと流し、急に止めるとどうなりますか?
「ドンッ」っていいませんか?
あれはウォーターハンマー現象といって、水が流れているところを急にせき止めたので起きる現象です。
手でキュッキュッと回して閉めるタイプの水栓金具なら起きません。
例えばやや強引な例えですが、走っている自転車の前輪に棒をさせば、急にブレーキがかかって、前に1回転してひっくり返りますよね?
急にブレーキをかけられた水道管の中の水は管の中で平衡状態に戻る為に激しく振動するわけです。その波形の1発目の振動は流れている水圧の約3倍が目安です。
1/100秒単位で見ないと数値には捉えられませんが手で配管を握っていれば衝撃が発生し、おさまっていく様子が伝わってきますのでお試しあれです。
アトピーの炎症をステロイドで急に止めるのに、そんな例えが妙にあてはまりませんか?
もちろん反動がくるのは、後日なのでやはり強引な例えでしたか・・・。
西洋薬の対処療法に対し漢方薬の特徴は体質改善です。
生薬の多くは植物ですが、いくつかの自然の生薬の組み合わせでできています。
生薬は食べ物の一種でありそれだけ体に優しいと言えます。
アトピー性皮膚炎に対する漢方薬の効果や目的にはどういったものがあるでしょうか?
まず、現在の症状緩和の効果があります。
・皮膚の炎症を抑える消炎作用
・痒み止め作用
・皮膚の保湿作用
といったものです。
次に体質改善にはこんな効果があります。
・副交感神経を刺激する作用
・副腎を刺激する作用
・体の表面ばかりでなく内臓にも働きかける
皮膚の症状に直接の効果を発揮しつつ、体質改善をし予防につなげていくところが、ステロイドの対処療法と大きく違うところです。
こうして考えると、漢方薬のほうがいいんじゃないか?と思うかもしれません。
最終的には、相性も関係してくると思います。
体の内側から健康にしたいと、目指すところが症状の緩和というより健康な人の体の状態にしたいというのであれば漢方薬でじっくり取り組む。
そんな捉えでいいかと思います。